前回記事では『プロジェクトを進める』3大スキルの内、『会議スキル』を解説しました。①会議設計と②ラップアップのスキルを上げる方法について説明していますので、未読の方はぜひご一読ください。
本記事では3大スキルの内、『資料作成』について詳細に解説していきます。
よっぽどプレゼン・ファシリテーションが上手く、絶対の自信がある人以外は、会議を成功させるために『資料作成』のスキルを磨いておくことを絶対にオススメします。
特にデジタル化・DX案件のように、テーマが複雑 & 新しく、関係者も多いプロジェクトでは、なおさら必須になります。
資料作り、苦手なんだよなぁ…時間はかかるし、面倒だし…
その気持ち、めちゃくちゃ分かります!
でも安心してください。本記事で説明するのは『きれいなパワポを作るためのスキル』ではなく、『プロジェクトを進めるための資料作成スキル』です!
私もDXコンサルとして相当数の資料を書いてきましたし、今も書いています!
面倒だな、、と思うこともありますが、それでも絶対に『やるだけの価値がある』と思っていますし、資料に救われた会議やプロジェクトがいくつもあります。
実はちょっと明かしたくないですが、今日は『プロジェクトを進めるための資料作成スキル』を全公開していますので、資料作成に悩むプロマネの方々、ぜひご一読ください!
※ 3大スキルの最後のひとつ、『ファシリテーション』は以下をご一読ください!
3. ファシリテーション編
前提!会議の設計はしっかりできていますか?
本記事の『資料作成』は、『会議設計がしっかりできている』ことが前提です。
会議設計の『4つのP』が整理されていなければ、まずはそちらを優先しましょう!
『4つのP』と言われて分からない方・忘れてしまった方は、必ず復習をお願いします。設計ができていない会議のために資料を準備しても、それは絶対『無駄な作業』に終わります…
順番を間違えてはいけません、まずは設計!それから資料です!
※ 会議設計のスキルはこちらをご参照ください
会議中、助けてくれる唯一の武器は『資料』
①会議の設計がしっかりできていれば、あとは②準備された資料を使って、③当日ファシリテーションをし、設計通りに会議を完了するだけです。
簡単に言うけど、そのファシリテーションが難しいんだよ…
そうなんです。特に、複数部署が参加する複雑なデジタル化・DX案件だと、全体の意見を整理しながら、議論を上手く噛み合わせていくという『即興力』を求められるファシリテーションは、かなりムズいですよね…
しかも、あなたのキャラクターや、話の上手さに左右される部分も結構あります。
でも、実はこの『ファシリ』、苦手でも簡単にスキルを底上げする方法があります!
それが本記事のテーマでもある『イケてる資料』。ファシリに自信がない人ほど、資料には絶対こだわるべき!
会議が始まったら、自分のファシリを助けてくれる唯一の武器は、準備されたイケてる資料だけです!
資料=『パワポを作る』と思っていませんか?
具体的な『イケてる資料の作り方』に進む前に、超大事なポイントなので、最初に認識合わせです。
資料を作れ!と言われたら、皆さん、まずは何をしますか?
すぐにパワーポイントを開いて、ウンウン悩み始めるのではないでしょうか?
これ、『ダメ、絶対』です!
資料というのは①伝わりやすいストーリーと、②分かりやすいスライドのどちらも必要で、資料作りにおいて鍵を握るのは①のストーリーです!
このストーリーが完璧に整理できるまで、絶対にパワーポイントは開かない!
これをまずは胸に刻んで、イケてる資料づくりの具体的なステップに進みましょう!
【完全版】これで分かった!資料作りの全体像
まずは資料作りの全体像を俯瞰しましょう。この整理は後ほどオススメ本でも紹介している『世界で一番やさしい会議の教科書』を参考にしています。
資料作りは7つのステップに分けられます。ここで理解してもらいたいポイントは2つ!
- なんとステップ⑥までパワポは開かない!最後しかパワポは登場せず…
- 勝負はステップ④まで!ここがズレたらイケてる資料は作れない!
上司やチームのレビューが必要な場合、まずはステップ④までをクイックに仕上げてレビューしてからパワポを作ることで、ムダな作業や手戻りがゼロになり、劇的に生産性が上がります!
会議前日に資料レビューをお願いしたら、思いっきりズレていてイチから作り直した経験、皆さんありますよね。。
イケてる資料のカギを握る『ストーリー』
まずは資料作りのカギになるステップ④の『ストーリーづくり』までを見ていきましょう!
ちなみに①②③は、前編の『会議の設計』ができていれば完了しているはず。
前工程が後工程に影響を与えていくので、まだマスターできていない人は改めて会議スキル編を読んでおいてください!
- 発散 |
まずは会議で話したいこと・決めたいを雑でも良いのでバッと書き出しましょう!
モヤモヤ悩まず書いてみて、頭の中を可視化することが大事です。
私の大好きな本に『イシューからはじめよ』という本がありますが、そこに書かれている以下は非常に深いです、、!
手が止まったら悩んでいる証拠なので、そうなった場合は時間を空けてまた考えましょう。
「君たちの賢い頭で10分以上真剣に考えて埒が明かないのであれば、そのことについて考えることは一度止めたほうがいい。それはもう悩んでしまっている可能性が高い」というわけだ。
『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』より引用
- 主張と要望
次に、フォーマットに従って資料全体を通しての主張と要望を整理しましょう。
特に『要望』=相手に期待するアクションが不明確・記載がない例は本当に多いので、必ず意識して書いてみましょう。
- 相手の状態
『要望』がある以上、必ず『相手』が存在します。
実は常にしっかり『相手』を考えながら資料を作れる人、あまりいません。。!なので、世の中には『言いたいことを言うだけ』の資料・会議が溢れています…でも逆に言うと、ここをやるだけでソッコー『差別化』できます!
『相手』を考える上で、特に重要なのが相手の『今の状態』です。
会議とは『今の状態(A)』を、主張と要望を通して『理想の状態(B)』に持っていくこと。そう考えると、相手は何を知っているのか?を考えておくとともに、会議の冒頭に必ず『理解を揃える』コミュニケーションをしないと、(A)の状態がバラバラになるので、絶対に(B)に持っていけません!
- ストーリー化
ここまで整理した上で、資料全体のストーリーを『話し言葉』で『接続詞』を意識して言語化します。
話し言葉でスッキリと繋がるストーリーになっていると自分で納得できることが、相手に伝える上での最低ラインです!
ストーリーを組み立てる上で重要なのは『キーメッセージ』!
このメッセージが中々やっかいで、メッセージがメッセージになっていない例がかなり多発しています…
- ファクトだけで何も主張していないメッセージ…
- 例) Aが10%増えました!はファクトでしかない。だから何が言えるのか、どうしてほしいのかがないとメッセージにならない…
- どちらもいいと思う、という感想レベルのメッセージ…
- 例) どちらがよいか?なぜそう思うか?だからどうしてほしいか?を伝えないと、会議で議論は何も進まない…
このキーメッセージを接続詞でつないだストーリーが『伝わるもの』になっているかが、イケてる資料づくりの第一関門。
資料をレビューする際にもここで必ずチェックするようにしましょう!
そして前半戦の最後に、ここで忘れずにやってほしいのが『目次化』です!
『話し言葉』で整理したストーリーを、相手に分かりやすくするために『構造化=目次化』することが超重要です。
なぜなら、人は『全体像』と『今話されている部分』の関係性が分からないと集中力が続かないからです!
最初に『全体の地図』を目次で分かりやすく作ってあげることで、相手は断然聞きやすくなります。
やっときました!『スライドづくり』のコツ!
ここで、ついにパワポでスライドを作るフェーズです!と言いつつ、ここで立ち止まって考えてほしいことが!
資料を作る目的は『良い会議をすること』ですよね?その目的を果たすために、本当に『パワポ』は必要でしょうか?
パワポは大変だし、アウトプットも出せるので、仕事をした気にさせる業務No.1だと思います!笑
でも今まで整理した『ストーリーのテキスト』で会議を進められる=参加者に説明したいことが伝わるなら、そもそもパワポっていらなくないですかね?
ぜひ立ち止まって、どうしてもパワポで図解などをしてあげる必要があるか考えてから、次に進んでください!
- ラフスケッチ
そして、ここまで来ても、まだパワポ、触りません笑
スライドに必要なのは①タイトル、②メッセージ、③カラム構成、④サブタイトル/サブメッセージ(2カラム以上のみ)、⑤コンテンツ(図解など)の5つ。
これらをノートに手書きで、書いてみましょう!パワポはできあがったラフスケッチを『電子化』するためだけに使うので、まずは手書きで資料イメージを完成させます。
これ、余計に時間がかかるんじゃないの…
そう思いますよね、私もコンサルで最初に習ったとき、同じことを思いました。笑
これ、百聞は一見にしかずですのでまずやってみてください!爆裂に資料づくりが効率化でき、クオリティも上がります!
一つ、サンプルとして2つのスライドを見てみましょう!
2つ目のスライド、何が改善されているでしょうか?ぜひ読み進める前に考えてみてください!
左図から右図では、大きく以下の点が改善していると思います。
- 話したいことがパッと分かる(業務フローの『リードタイム』について話したいとすぐ分かる)
- メッセージ・期待アクションが明確(リードタイム2日の実現性を考えて、 意見を出せば良いことが分かる)
- 見るべきポイントが分かりやすい(「部署 + リードタイム2日 + ボックスの色分け」で、注目すべき点がクリアに)
資料づくりはセンスももちろんありますが、これまで整理してきた『依頼や要望』が明確であれば、資料内で絶対に抜けてはいけないポイントはカバーできるはずです!
その他に、私が超大事にしているスライドづくりの『ポイント』をまとめておきました!
- 1文字1万円。伝わる文章の中で、最小限の文字数を目指す!
- 考え抜いたキーメッセージを書いてから、伝わりやすくするためにその他の要素を書く!
(スライド内に何となく情報を並べて、それをサマったメッセージ書いてませんか?) - ワンスライド・ワンメッセージは絶対ルール!メッセージのないスライドは作る意味なし!
- 情報には濃淡をつける!見てほしいところをちゃんとハイライト
(スライド見て、5秒で理解できなかったら相手は読み飛ばす) - 資料はシンプル・イズ・ベスト
(伝えたいメッセージに影響しないなら、ごちゃごちゃ図や絵を使わない)
- 電子化
ここまで来て、ついにパワポ、登場です!笑
スライドを作り始める前に、最初に以下をやってしまいましょう!最大限『フォーマット化』がポイント。使う図やイラストはできるだけ同じものを使い回しましょう!
- パワポのスライドマスタ整備
- カラーバリエーション・ルールの設定
- 活用するパーツ・図形のリストアップ
その上で、以下の流れで『電子化』を進めていきましょう!
- 表紙・目次・中表紙: ストーリーからそのまま転記して完成!
- その他ページ: ラフスケッチからスライド化
[図]
- レビュー
ストーリーに合意できていて、スライドマスタ・カラーバリエーション・パーツもフォーマットのものを使っていれば、もはやレビューは楽勝!なはず笑
上司の『好み』で追加のコメントが来た場合は、上司に自分で直してもらいましょう!笑
この7ステップを丁寧に進めれば、資料作成は劇的に上手くなるはずです!
一生使える『資料作成力』の超おすすめ本2冊
本記事で解説してきた『資料作成力』ですが、更に具体的に学びたい人向けに、厳選したオススメの2冊をご紹介します。
『資料作成力』を高めるには多くの『良いスライド』を見ることも有効なため、ぜひ以下の2冊も併せて読んで、スライドを見る目も養ってもらえればと思います!
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まとめ
本記事では、プロジェクトを推進するための『エンジン』となる3大スキル『①会議・②資料・③ファシリテーション』の内、②を詳細に解説しました。
皆さんが膨大な時間を使っていて、かつ苦手な人も多い『資料作成』ですが、良い会議・ファシリテーションを実現する上では非常に強い『武器』になります!
ポイントはとにかく『パワポ』をギリギリまで開かないこと!これにつきます!
事前に①ストーリーと②資料フォーマットを合意しておいて、ズレる可能性を最大限排除してから資料を作り始めましょう!
ズレや手戻りが発生すると大量の時間をムダにするからこそ、確実 & 効率的に進めることをおすすめします。
これをきっかけに資料づくりを自身のプロマネ力の『強み』にして、イケてる会議を量産してもらえればと思っています!
また残りの2つのスキル、①会議の設計、③ファシリテーションについても、超詳細に解説していますので、ぜひ併せて読んでみてください!
1. 会議の設計編
2. ファシリ編
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