【図解】『段取り力』がプロジェクト成功の鍵!今すぐ実践すべき3スキル

前回の記事では、DX案件の成功にはプロマネ力が求められ、そこには7つのコアスキルがあることを紹介しました。
本記事ではプロマネ力のコアとなる「段取り力」について、詳細に解説していきます。

・段取り力って、具体的にどういうスキルなの?
・段取り力が上がると、どんなメリットがあるの?
・具体的に、どうやって段取り力は高めるの?

など、基礎的な事項から具体的な鍛え方まで、まとめて学んでいただける内容になっています。
個人としても/プロマネとしても、難易度の高いDXプロジェクトをうまく推進するためのスキルがたくさん解説されていますので、ぜひ読んでみてもらえればと思います。

画像:筆者作成
目次

プロマネに求められる3つの段取り力とは

段取り力とは、仕事を効率よく進めるために「先を読んで考え・行動できる力、先回りする力」となります。

日々の仕事を進める上で、段取りをしてから進めた場合とそうでない場合とでは、仕事のスピード・精度・達成確度に大きな差が生まれるはずです。

そして「DXプロマネに求められる」段取り力には、3つあります。

  1. プロジェクト設計力 | チームで成果を出すための段取り力
  2. 依頼力 | チームが円滑 & スピーディに動けるための段取り力
  3. マルチタスク力 | プロマネ個人が大量のタスクを捌くための段取り力

プロジェクトで段取り力が求められる背景

では、なぜプロジェクトで「段取り力」が求められるのでしょうか?

前回の記事で定義づけした通り、「プロジェクト」とは①期限内に、②複数の部門が関与し、③独自の成果・プロダクトを創造するものです。

ポイントは②複数の部門が関与するという点で、プロジェクトを成功させるには、自社メンバーだけでなく外注ベンダーなども含めた「チーム」で仕事を進めていく必要があります。そしてそのチームで、①期限内に、③独自の成果を出すには、チーム全体のアウトプットを高めるための「段取り力」が強く求められます。

つまり、社内外のメンバーと「チームで成果を出す」ことが求められるDXプロマネにとって、「段取り力」は全て絶対に身につけるべき必須スキルなのです。

段取り力を鍛える①プロジェクト設計力

プロマネに求められる段取り力の1つ目は「プロジェクト設計力」です。
チームで成果を出すための段取りであるプロジェクト設計力は、大きく4つの要素に分解できます。

  1. 目的思考
    • 段取りを組みためにも、ゴールがなければそこまでのプロセスを設計しようがないため、とにかく最初にプロジェクトの「目的」をはっきりさせることは必須
    • 特にチーム全体で共通認識化することが重要。全員が「目的」に向かってタスクを行うことで、逐一指示・確認がなくても、手戻りが減り、仕事のスピード・精度が上がっていく
  2. 逆算スケジュール
    • 目的を明確にした上で、その目的・ゴールから必ず「逆算」してスケジュールを設計していく
    • 手前から積み上げで考えるのではなく、目的から逆引きしていくのがポイント
  3. クリティカルパスを意識
    • スケジュールを設計する際、プロジェクト=チームでの取り組みのため、「自分以外に作業してもらわなければいけないタスク」「他の人の前工程が終わらないと着手できないタスク」がたくさん発生する
    • このとき「自分以外のタスク」は、その相手に依頼を最優先で投げ、相手の作業時間を確保することが肝心
    • 「前工程が終わらないと着手できないタスク」は要注意で、その前工程を早く終わらせるよう締切の調整が必須
  4. スケジュールTODO化
    • クリティカルパスを意識して、逆算スケジュールを引き終わったら、そこで満足しない
    • スケジュール≠TODOであり、①担当者、②締切、③アウトプットが規定された状態で振り出さないと、チームのメンバーと理解の齟齬が発生して、大きな遅れが発生するリスクあり
    • そのため、毎週月曜日の朝イチで、全体スケジュール→週次TODOリスト化して、チーム全員に共有すべき

このプロジェクト設計力を身につけるだけで、プロジェクトの成功率は大きく上がります。何より、円滑にプロジェクトが進むことで、プロマネ自身・チームメンバーの残業も減り、精神的な負担も下がるはずです。

段取り力を鍛える②依頼力

2つ目のプロマネが身につけるべき段取り力は「依頼力」です。

社内だけでなく、社外も含めて推進するプロジェクトでは、各社が「会議と会議の間に」いかにTODOを進めていけるかが全体の進捗に大きく影響します。

画像: 筆者作成

そのために非常に重要になるのが、プロマネ→メンバーへの「依頼力」です。

驚くほど多くのプロジェクトで「依頼・指示」のクオリティの低さが、チームの動きにくさやメンバー間の理解の齟齬、手戻りなどを発生させ、プロジェクトを遅らせる要因になっています。

「依頼力」を図る指標は、とにかく依頼された相手の「動きやすさ」です。
パッと進めやすい依頼であればプロジェクトのスピードは上がっていきますし、そうでない場合には、あなたの依頼はどんどん「後回し」にされていく可能性が高いです。

画像: 筆者作成

依頼のクオリティひとつで、プロジェクトのスピードに雲泥の差が出るとしたら、絶対にこだわったほうが良いですよね。
依頼に求められる4つの要素、常にクリアできているかこれを期に確認してみてください!

  1. 『目的/背景』は必ず共有しよう!
    なぜやる必要があるかが分からないとやる気は湧かない!
  2. 『相手への期待アクション』を超具体的に伝えよう!
    これぐらいで相手が分かってくれるだろう、の1.5倍は具体的に!
  3. 『担当(あなたが担当ですよ)/期限』を明確に伝えよう!
    意外と人は話を聞いていないし、期限を無視しがち!
  4. 『相手の次のアクション』を想像して、動きやすさを絶対意識!
    例えば参照するURLをSlackに貼っておくなど、受け取る相手への思いやりを大切に!

段取り力を鍛える③マルチタスク力

最後の段取り力は「マルチタスク力」です。これまでの2つと違い、プロマネ自身が個人として大量のタスクを捌くための段取り力になります。

マルチタスク力を高めるポイントは3つで、これらをやり切るだけで、プロマネとしての個人のタスク実行能力は劇的に向上するはずです。

  1. 悩まずに「考える」

マルチタスクをこなす上で最大の敵は「何かのタスクでぼんやりと悩んで、手が止まってしまう」ことです。
単純作業ではなく、考えて対応すべき「重要度が高いタスク」でこそ、この「悩む」は発生しやすいので非常に厄介です…

この「悩む」時間を減らすのに有効なのが、名著「イシューからはじめよ」で紹介されているように、「悩む」と「考える」の違いを認識することです。そして「悩む」状態が発生したら、すぐそのタスクをやめて、誰かに相談する・別途時間を取って考えてみるといった対策を取ることです。

画像:みつはぶろぐより引用

ではこの「悩む」と「考える」をどう区別すれば良いでしょうか。
実はこれは簡単で、「手が動かせているか=アウトプットできているか」で分けられます。それぞれの具体例を、以下で挙げてみましょう。

  • 腕組みしてうんうん考えている状態=実は「悩んでいる」状態。頭の中をぐるぐる考えが巡っているだけで、「手が動かせない」状態になっている証拠
  • ノートになぐり書きでも考えを書き出せている状態=「考えられている」状態。考えながらアウトプットできているので、タスクを進めたり、考えを更に深めていける状態

自分の中で「悩む」時間を最小化できると、あなた自身のタスク処理能力はかなり大きく向上します。ぜひ「悩む」と「考える」を意識して区別してみてください。

  1. すぐ終わるものが最優先

こちらも名著「時間最短化、成果最大化の法則」で紹介されている、仕事を「重要度 x 緊急度 x かかる時間で優先順位付けする考え方です。

一般的に仕事の優先順位は「重要度 x 緊急度」で語られることが多いと思いますが、この考え方で注意が必要なのは「かかる時間」が考慮されていないことです。

重要度も緊急度も高いけれど、非常に時間がかかることに手を付けると、小さい仕事が全然片付いていかなくなります。そうしているうちに、その小さな仕事はいつしか緊急度が上がり、否応なく今すぐ対応せざるをえなくなってしまう…
これが続くと「重要度は低いが、緊急度が高いタスク」に常に忙殺され、「忙しいが成果が出ない」人になってしまいます。

そのため「かかる時間」を意識してタスクの優先順位を行うことが重要です。
完了までにかかる時間を考えて、すぐに終わるものを最優先で処理していく。重要度・緊急度が低くても、すぐに終わるものから先にやるほうが、以下の理由から絶対に成果が上がります。

画像:『時間最短化、成果最大化の法則』P54「図表5」より引用
  • 先にやることですぐに結果が得られ、こなせる案件数が圧倒的に増える
  • 「発生→タスク管理→実行」が「発生→実行」となるので、タスク管理の手間が省け、キャパが増える
  • タスクが完了することで次のタスクが生まれ、大きな目で見ると仕事全体が進む
  • 記憶が鮮明なうちに仕事が終わるので、短時間で漏れなく精度の高い仕事ができる。後でやろうとすると記憶が薄れ、アイドルタイムが発生し、精度も下がる

これまで優先順位を意識できていなかった人、重要度 x 緊急度で優先順位付けしていた人は、ぜひ試してみてください。
自身の処理能力が劇的に上がっていくことをすぐに体感できると思います。

  1. 脳をご機嫌に働かせる

「悩まずに考える」を徹底した上で、「正しく優先順位付け」ができた後は、いかにスムーズにタスクを捌いていけるかが重要になります。

その観点で理解しておきたいのが、同じ能力をもった人の「脳」でも、使い方によって生産性が大きく異なるという点です。
その前提で「マルチタスク力」を高めるポイントは、とにかく「脳をご機嫌に」働かせること。並行して色々なタスクのことを悩んだり、短時間に複数タスクを切り替えたりすることで、私たちの「脳」の働きは明確に悪くなります。

「脳」をご機嫌に保つために、今すぐできる「2つの工夫」が有効です。

  1. 小さい仕事はとにかく「書いて」、脳から「吐き出し」「忘れる」
  2. 「かかる時間が同じぐらいのタスク」を、同一時間内でまとめてやるようにして、脳の切り替えコストを減らす

これにより、今すぐやる必要のないタスクに脳のメモリを持っていかれることもなくなりますし、さまざまな時間軸の作業を行ったり来たりして生産性を落とす心配もなくなります。

「脳」の処理能力は今すぐ上がらないからこそ、「使い方」にこだわることが生産性を急激に上げる唯一の方法になります。

段取り力を学ぶ最高の1冊

プロマネが体得すべき段取り力について本記事で解説してきましたが、段取り力向上に役立つデジタルツール/Tipsなどを紹介している素晴らしい書籍があるので、ご紹介します!

本記事・サイトだけで解説しきれない超具体的な情報もたくさん載っていますので、ぜひ併せて読んでもらいたいです。

【おすすめ本】仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!

まとめ

今回は7つのDXプロマネコアスキルの内、「段取り力」について解説してきました。

DXプロマネに求められる段取り力は3つで、「プロジェクト設計力」「依頼力」「マルチタスク力」です。
1つひとつは当たり前に見えるスキルかもしれませんが、すべてを完璧にできるようになれば、DXプロジェクトは劇的にスムーズに進むようになるはずです。

社内外のメンバーと「チームで成果を出す」ことが求められるDXプロマネにとって、3つとも絶対に身につけるべき必須スキルですので、ぜひ詳細に読み込んでもらえたらと思っています。

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